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  旅日記 no.244
「牧場の料理会」
2009年5月27日
「牧場の料理会」こんにちわ。金丸です。
今日は「牧場の料理会」の話です。

毎年、大妻女子大学家政学部ライフデザイン学科「食と社会」の大学生を連れて東京・八王子の磯沼ミルクファームで、牧場の料理会を開いている。今年は、明治大学農学部環境政策学科「食文化論」の非常勤講師をすることとなったので、明治大学と大妻女子大学と一緒に行った。牧場の大学交流だ。

磯沼ミルクファームhttp://isonuma-farm.com/

前回から、以前に講師をした「フードマエストロ講座」の受講生の人たちに呼びかけたら、料理家の馬場香織さん、岡村美和さん、宮崎真貴子 さんという3名がアシスタントをしてくださることとなった。それに妻の早苗も協力してくれることとなった。

牧場の料理会の話したら『美味サライ』(小学館)と『フィガロ・ジャポン』(阪急スクエア)が取材をしたいというので、スタッフとカメラマンも参加。総勢46名となり、おかげで、にぎやかで楽しい会となった。

牧場では、ジャージー、ブラウンスイス、ホルスタインの飼育の様子から、3種のミルクの味比べ、牧場の経営などを話も聞いたうえで、牧場の素材を使って料理を作る。ピザの生地は、牧場の小麦。これにミルクを入れて練る。トッピングの野菜にネギを畑からつんでくる。ほかに牧場牛のベーコンやコンビーフやトマトやピーマンなど。ミルクスープも野菜摘みからしてもらった。

メニューは、
?牧場ランチ作り=石窯ピザ、ミルクスープ、デザート。
?ちち搾り体験=ちち搾り、牧場案内、牛乳の話、放牧場で牛とのふれあい
?ミルクのテイスティング=3種の乳牛のミルクの味わいを確かめる
?手摘みの生ミントと生茶のティー
?ミーティング=牧場についての質問とお話

今回は、アシスタントの方が、それぞれの部署について、フォローしてくださり、とてもスムーズだった。とくに馬場さんは料理家で、料理教室をしてらっしゃるので、教え方が上手。生徒たちは、生地を練ったり、溶岩釜でピザを焼いたりと、もくもくとやっている。とても熱心で、こちらが感心するほどだ。

料理会のあと、翌日、大妻女子大と明治大学の授業で、牧場の料理会のスライド上映をしたら大反響だった。スライドのあと、杉並の「馬橋リトルファーム」、埼玉県小川町の霧里農場、浦和の「萩原ファーム」、練馬の加藤農園など、都市農業の新しい形と試みとしていくつかの事例を紹介した。これが牧場の仕組みや、消費者との交流による新しいニーズの発見、消費者参加型の都市の農業という形でうまくつながった。

新しい農業の試みが、じつは東京都その周辺から始まっていて、参加しようと思えば、すぐにできるとわかって、みんなも目からウロコだったようだ。レポートの反応も抜群で、牧場の料理会もとてもみんな楽しかったようで素敵な内容がたくさんあった。牧場の体験授業で生徒が間違いなく変わった。

というのは牛によるミルクの違いというティスティングひとつでもふだんでは、まったく試みられてないからで、そこから大量生産のミルクと、そうでないミルクの違いとなりたちが、味わいでわかるという発見がある。するとレポートの中身が繊細になり、こまかい気づきが書き込まれる。食や農業への関心も深まる。
 
大妻女子大は長いレポートを書いてくれた子がたくさんいた。一方では、この日、八王子でインフルエンザが発生したことから、当日に怖がってキャンセルが相次いぐという緊急事態も生まれた。だが無事であった。「スライドを観て楽しそうで、行かなかったこと後悔してます」という声もいくつもあがった。

明治大学は農学部なので、都市の農業の新しい形としてレポートを将来性にまで言及した生徒もいて、とくに加藤農園の開放されたカルチャーセンター方式の農業のシステムは、反響がたかかった。じつは、東京都内および近郊に先鋭的な農業がいくつもあって、それを連携させた授業をしてみたいというのが願いである。すくなくとも年間6本ほどの現場検証を組み込んだ授業ができれば、そうとうに具体的な、食のマネジメントの概念が理解できると思っている。これは、ここ数年の夢で、いずれ実現させたい。


■「新着情報」です。

「サライ」増刊「美味サライ」6月20日号(小学館)で新連載「金丸通信」が始まりました。

第1回は「コウノトリが飛んできた町・兵庫県豊岡市」です。

豊岡市はコウノトリを戻すために生き物豊かな田んぼの生態を復活するための取り組みを、行政、農家、地域住民、JA、NPOなどと連携して行っています。新しい動きに感動をしました。
http://blog.serai.jp/contents/honsyokai/post-79.html

コウノトリを戻した環境によってエコツアーで全国から48万人がくるようになり、お米も高い値段がつくようになりました。またコウノトリを学ぶ環境調査が、小学校や大学など、地域全体で行われています。

新連載では各地の新しい動きを毎回紹介をしていきます。