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  旅日記 no.262
「未来の食卓トークショー」
2009年9月23日
こんにちわ。金丸です。
今日は「未来の食卓トークショー」の話です。

公開中の映画「未来の食卓」で、上映後にトークショーをすることとなって、その相手に推薦したのが、埼玉県さいたま市で農業をする萩原さとみさんである。会場は、渋谷にある配給会社アップリンク内にある映画館。打ち合わせには、萩原さんが次男の哲哉君をともなってやってきてくれた。
http://www.uplink.co.jp/shokutaku/(未来の食卓)

萩原さん親子は、2007年に開いた唐津市での食のワークショップに参加してくれた。そんなことを話しているうちに、萩原さんと「未来の食卓」の映画の内容が、ぴったりと重なることがわかった。偶然とは思えない。萩原さんのところは無農薬・無化学肥料で野菜を栽培し、毎月、150名近くの親子を迎える「かあちゃん塾」という農業体験を実施している。
http://www.ruralnet.or.jp/ouen/meibo/322.html(萩原さとみ)


今年から、学校給食との連携を始めたという。栄養士さんがやってきて、野菜を学校で使いたいといわれて行うようになったというのだ。映画は、フランスの小さな村で、学校給食をオーガニックにするというドキュメンタリー。

宣伝部の人の話だと、映画上映後に、必ず質問されるのが「ところで、日本では、映画のような活動をしているところがあるのですか?」だという。まさに彼女の活動はぴったりの事例になった。

http://www.banraisya.co.jp/kanamaru/yurachi/index.php?&no=007
(萩原さとみの「かあちゃん塾」)

しかも彼女が農薬を使わない体験ファームを始めたのは、1992年にフランスに行って、シンポジウムに参加してからだったというから、ますます接点ができた。「もう詳しい打ち合わせはやめましょう。そのままのことを、トークショーで語ってよ」ということで、本番を迎えた。

萩原さんは、もう10代以上続く農家。少なくとも江戸時代から農業をしてるというのは間違いない。都市周辺での農業を行い、バブル時代には、植木を行い、観賞用としても販売をしていた。しかし、バブル崩壊で植木もうれなくなる。

また映画と同じように、農薬を農家がみんな使用し始めた。萩原さんのご主人も使用したが、具合が悪くなるので、極端に減らしたので、周辺からは「農薬を使った方が除草も防虫も簡単なのに」とよく言われたという。

これまでの農業に行き詰まって、彼女は思い切ってフランスとドイツの教育ファームのシンポジウムに出かけたのである。

「新聞にたった一行書いてあった。なんとなく魅かれて、参加したんですが、それが運命を変えた」という。シンポジウムで会ったのは、教育ファームの発展に寄与したアンリ・グロローさんであったという。「都会の消費者に近いのなら、癒しの農業をしなさいと言われた。そのあと、またこの方向でいいのか、フランスに会いに行きました。アンリさんには抱きしめられて、キスまでされちゃった」とことだった。

フランスでは、小さな農家が始めたのが、農家をまるごと解放して、そこに子供たちを迎え入れて、農業を教育の場として、使うというものである。それは地域が主体となって、地域を守るということにもつながるという理念のもとに行われている。現在、フランスでは少なくとも1400か所はあるだろうという。

萩原さんの農業は、今は、さまざまな親子や、イベントなどで外部の人を迎え入れている。またネットワークを造り、東京のレストランと連携して、野菜を使ってもらうこと始まった。学校給食も他の農家とチームを作り、今後広げていきたいという。トークの後には、萩原さんに熱心な質問が寄せられて、映画のテーマにそった、素敵な時間となった。

トークショーのあとは、代官山の「イータリー」に誘って、うちの妻・早苗と、萩原親子と食事。というのも、萩原さんはスローフードにも興味をもっていて、だったら、スローフード協会がコンサルタントをしている「イータリー」で食事をし、関係者にも紹介しようとなったというわけだ。この日は、話がつきなくて、楽しい時間となった。
http://www.eataly.co.jp/welcom.html(イータリー)