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  旅日記 no.267
「THIS IS IT」
2009年10月31日
「THIS IS IT」
こんにちわ。金丸です。
今日は「THIS IS IT」の話です。

マイケル・ジャクソンの幻ロンドンでのライブまでのドキュメント「THIS IS IT」の試写に有楽町の丸之内ピカデリー1にでかけた。公開直前試写という異例のもので、試写の直後にそのまま一般公開で興行。しかも2週間限定で、全世界同時公開というものだ。

イギリスでのライブのためのリハーサルを行い、その直前で急死。リハーサルの映像が100時間もあり、その映像が50億円だかという値段で買い取られ、今回の映画になったというのだが、どんなものか、さして期待もなく観に出かけた。

というのもマイケル・ジャクソンの僕は世代ではないので、ファンというものでもない。もちろん「ジャクソン5」のころは、ちらりと映像では知ってはいたが、レコードまで購入というのはなかった。夢中になっていたのはジャズだったからだ。

ただやはり、あの「スリラー」には、圧倒された。もっともダンスパフォーマンスもさることながら、実は、映画好きの僕にとっては「ブルース・ブラザーズ」や「狼男アメリカン」のジョン・ランディスが監督したこと。メイクをリック・ベイカーが担当したことで、興味をもった。しかもリック・ベイカーには、来日したときに、ホテルまで会いにいったといういきさつがある。

映画は、ライブのためのリハーサル模様を収めたもの。リハーサルが2009年2月から6月まで行われていたというのだが、巻頭から圧倒されてしまった。ライブに参加するためのダンサーのオーデション風景から始まるのだが、世界中から集まってステージで繰り広げられる。たった数分だが「コーラスライン」を凌駕するような迫力である。

映像はリハーサル風景をとらえたものだが、そのスタッフ組みと、大きな劇場のような会場を借り切っての準備の模様は、もう大スペクタクル映画並みの規模といえるもの。どれだけお金がかかっているのかと、ため息の出るような雰囲気である。

バックダンサー、ボイストレーナーから振付から、音響スタッフから、ライブのための器具の開発者、衣装デザイナーから、ビジュアル映像のSFXなど、ものすごいスタッフの数である。ロンドンライブのために、そうとうに周到な準備と入念なリハーサルとが行われ、ビジュアル的にも、圧倒するステージが用意されていたことがわかる。

「スリラー」の場面では、別撮りで、セットが作られ墓場からゾンビが出てくるというシーンが、ステージ用に撮影されて、それがマイケルの歌と繋がるようになっている。しかもマイケルは巨大なステージに登場するお化けの機械仕掛けのクモの体のなかから出てくるというものだ。

これらの装置と演奏とバックダンサー、コーラスが一体となって、彼のパフォーマンスが繰り広げられる。まるでサーカスとマジックショーと歌舞伎と京劇をあわせて、スケールをでかくしたような感じだ。これまでライブを観たファンが夢中になるというのも納得できる。

全27曲が立て続けに約2時間にわたり、それもスペクタクルに展開する。マイケルのダンスは、音楽とダンサー、映像、舞台の装置などと見事一体となって、彼の世界が出現する。パフォーマンスのなかで衣装が次々変わる。コスチュームも、さまざまに用意されていたのだろう。

最後は、地球の映像と荒廃するジャングルが出てきて、「地域を冷やそう」というメッセージと、「愛を」というのが流れるのだが、このゴージャスなステージと矛盾するような感じもしなくはない。しかし、マイケル・ジャクソンが、なみなみならぬ力をそそいでいたのがわかる。

どんな時代に彼は生きたのか。死後、さまざまに出版された本は、ほとんど観てもいないが、たまたま手に取った「現代思想」8月臨時増刊のピーター・バラカンと佐藤良明の対談がきわめて面白かった。黒人音楽の流れと、その時代を詳細に語ったもので、そのなかでのマイケル・ジャクソンの位置が客観的に語られている。

それには、「ジャクソン5」が、きわめて計画的に仕掛けがされた音楽であったこと、またマイケル・ジャクソンが初めて音楽をビジュアルとして打ち出したということ。彼の「スリラー」によってプロモーションの概念が変わってしまったことなどが、語られている。


金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/pdf/b022.pdf
◎内閣官房地域活性化応援隊地域活性化伝道師
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/tiiki/070415meibo.pdf
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