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  旅日記 no.274
「再び常陸太田市へ」
2009年12月30日
「再び常陸太田市へ」こんにちわ。金丸です。
今日は「再び常陸太田市へ」の話です。

今年は、奄美諸島から北海道まで、全国各地に出かけた。そして年末に訪ねることなったのが茨城県常陸太田市だった。常陸太田市は平成20年度の総務省の事業で「食の町づくり」のサポートを行ったのだが、提案したことを、すべて実行に移し、さらに次年度の展開を政策に反映させて、次のステップを踏みたいと、要請があったのである。

今年度最後の事業は、ワーキングホリデーの実行と、都市と農村の交流である。話があったのが10月。常陸太田市から大学生を中心に地元に農業体験を迎え入れたいということだった。そこで話したのは、農家と協議の場を設けて受け入れ態勢を作ること。農作業の一年間のプログラムを作り、どの部分を手伝ったもらうのか明確にすること。責任の所在と窓口を作ること。保険の手配をすること、などである。

常陸太田市の役所のメンバーは、提案したことを、すべて実施し、企画課、商工観光課、政策推進室、農政課、にぎわい交流課など、横断組織を作り、全体で協議して迎え入れを行い、会議設定をしてくれたのである。ブドウ、梨、蕎麦の農家がワーキングホリデーを迎え入れることを了解いただいたという。そして一年間のプログラムも作成されていた。準備万端になっているのに感心。やるきがみなぎっている。

プログラムをもとに一日目は、その受け入れの準備がどうなのか、常陸太田市の役場のメンバーとみっちり2時間にわたって会議で詰めた。そのあと、副市長も交えて懇親会が開かれた。とにかく役場の若手の張り切りといったらない。街づくりをどうするか、みんな真剣に話している。訊けば、昨年度手がけた蕎麦のテキスト作成から、多くの問い合わせや視察が増えたという。

食材のテキストを作成し、そこから地域を知る。そして農産物のポジションをきちんと理解して、商品開発や、ブランド開発や、観光につなぐ。またワーキングホリデーをするにも、食がなにかきちんと伝えることができる、と言っていたら、なんと昨年度の「蕎麦」「ブドウ」のテキストをリニューアルし、さらに「梨」まで作成したという。これだけでもやる気を感じたのだ。

「常陸太田市 葡萄の話」テキスト↓
http://www.banraisya.co.jp/kanamaru/data/rensai/pdf/rensai07002.pdf
「常陸太田市 蕎麦の話」テキスト↓
http://www.banraisya.co.jp/kanamaru/data/rensai/pdf/rensai07001.pdf
「常陸太田市 梨の話」テキスト↓
http://www.banraisya.co.jp/kanamaru/data/rensai/pdf/rensai07013.pdf

ワーキングホリデーは農業の現場と、学生のマッチングを考えたら、今年は、体制づくりとプログラムをきちんと作成し、プロモーションを早めに展開をし、実質的には、平成22年度からが望ましいだろうと話したら、一年後のスケジュールをしっかり組んできた。これだけ準備のできた市であれば、進展は素晴らしいものになるに違いない。

翌日は、迎え入れの農家と、さらに2時間かけて、プログラムのすり合わせを行った。農家さんの質問や疑問に、しっかり答えて、認識を一致させた。農家さんもやるきのある、しかも体験者の迎え入れ経験者ばかりだから、いい形の展開になると確信をもった。

午後は「蕎麦」のテキストを作成した金砂郷地区にでかけて、体験工房で店長の岡崎さんと再会。蕎麦をいただく。そのあと、一緒に活動して、その後、惜しくもなくなった海老名武志さん宅にお線香をあげに行った。奥様の京子さんと思いでを話す。武志さんは、最後まで、「蕎麦を広めるんだ」と話していらしたという。

その後、お隣の蕎麦打ちの名人・海老名ひや子さんを訪ねた。ひや子さんは、代官山「イータリー」のワークショップに講師として登場していただき大喝さいをうけた。次年度は、彼女の有料の蕎麦講座を開きたいと思っている。そして山間地の作物で、この地域しかないものを商品化することだ。山菜、柚子など、山ならではのものがたくさんあることもわかった。ひや子さは、ごきげんだった。「協力します」との嬉しい返事をもらった。

そのあと、蕎麦の協議会の代表の農家さんと、ワーキングホリデーの迎え入れを話す。故・海老名武志さんの畠が受け入れに使われることを知った。僕の考えは「蕎麦」に関しては、料金をしっかりとって、きちんと教えるカルチャーセンター方式にしたほうがいいというもの。とりあえず今回は、ワーキングホリデーから始めるが将来構想としては、カルチャーセンターを調査するということとした。

常陸太田市は市の予算をとり、そして事業の継続を決めてくれた。総務省の事業として展開したことが、着実に広がり始めたのである。泊ったビジネスホテルのおかみさんが嬉しいことを言ってくれた。「役場の若い人たちの動きが違います。現場で活動しているのが、伝わってきますもの」。
これは2010年が楽しみである。嬉しい年末となった。


■エッセイを書きました。
「科学」(岩波書店) 2010年1月号(Vol.80 No.1) 12月24日発売。
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/

特集  高齢者3000万人時代の構築力──科学との新しい関係

エッセイ「長寿の秘訣は,働く場があること」を執筆しました。

長野県飯田市の農家民泊の高齢者の修学旅行の受け入れの村の元気な活動、徳島県上勝町の葉っぱのビジネスに生きがいを見出したお年寄り、1994年に全国の100歳の取材を行ったときのエピソードなどを交えて書きました。


金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/pdf/b022.pdf
◎内閣官房地域活性化応援隊地域活性化伝道師
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/tiiki/070415meibo.pdf
◎メールマガジンhttp://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/9697.html
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