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  旅日記 no.276
「心のデフレに負けるな」
2010年1月6日
「心のデフレに負けるな」こんにちわ。金丸です。
今日は「心のデフレに負けるな」の話です。

新春にビッグなお年玉をもらった。1月5日付の「毎日新聞」朝刊「社説」に著書「田舎力」(NHK生活人新書)が取り上げられたのである。タイトルは「2010年再建の年 経済 心のデフレに負けるな」である。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100105k0000m070093000c.html
(毎日新聞 社説)

全体の経済が低調になっているなかで、人だよりでなく、自分たちの手で産業づくりをしてきているところが元気になっている、として本が紹介され、インターネット書店アマゾンの「地域経済部門」でほぼ上位をキープしいてることが紹介されている。実際、発売一カ月後の9月16日に1位になって以来、ずっとベスト10以内にある。社説にのったことで、1位に返り咲いた。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140882972/kanamaru2007-22/ref=nosim/
(田舎力)

新聞には、海外からの集客をアイランドツーリズムで果たした長崎県小さな島の小値賀、コウノトリの放鳥で観光客48万人を集め、米のブランド化事業、環境を重視した温泉や旅館の取り組みで広域の経済につなげた兵庫県豊岡市が、本のなかかから紹介されている。
http://www.ojika.net/index2.html(小値賀)
http://www.city.toyooka.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html
(豊岡市)

「毎日新聞」では2度目の掲載。これでマスコミ掲載は40媒体となった。毎日新聞社は「週刊エコノミスト」でインタビューをうけて、その担当の人が気にいってくださり、社説に結び付いた。社説に掲載なんて、びっくりである。このところ講演や地域づくりで呼ばれる各地でも「田舎力」のタイトルがつけられていて、本で取り上げたテーマが確実に求められている、と実感できるのである。

そう思っていたらエッセイストの向井万起男さんから「社説がとりあげてくれたなんて凄いですね。こんなことって滅多にないんじゃないでしょうか。実に幸先のイイ年を迎えてわけで、今年もドンドン突っ走って下さい。」とメールがきた。向井さんには、いつも励ましの言葉をかけてもらっていて、勇気をいただいている。

時事通信社の記者の方からも「滅多にないこと」とメールをもらった。今度インタビューをしてくださるという。そのあと、本の担当編集のNHK出版福田直子さんから「社説に掲載なんて初めてですよ!」と喜びの電話をいただいた。さらに大分県竹田市の首藤勝次市長からは、社説のタイトル「心のデフレに負けるな」をうけて「まさにご指摘のとおり、心の過疎が一番恐い。」とメールをもらった。

「田舎力」で書こうと思ったのは、地域の力だ。というのは、地方のことや食の活動は、ほとんどマスコミでは、マイナス面で語られることが圧倒的に多いからだ。高齢化、限界集落、若者離れ、自給率の低下、過疎化、シャッター通り商店街、農村の耕作放棄地、偽装問題などである。頻繁に登場する。このおかげで、全国津々浦々まで地方に負い目ができてしまっているように思える。まさに「心のデフレ」だ。

地方に行くと、そういうところばかりではない。活力があるところがいくらでもある。三重県「伊賀の里モクモク手づくりファーム」のように山間地でも270名もの若者が働くところもある。徳島県上勝町のような山奥にも働きたいとやってくる若者がいる。長崎市の商店街には空き店舗はない。町歩きを観光にし年間550万人を呼び込み活力を生んでいる。元気なところの事例はたくさんある。こういう地域こそをもっと積極的に取り上げるべきだろう。

地域が欲しいのはマイナスの情報ではない。現場が現場で使える、地域活力につながる情報なのである。渇望されているといってもいい。地域の活力ある実践のノウハウをもたらすことが必要なのである。

ただし、これまでの路線では、うまくいかない。なぜかというと、高度成長期以降の人口増大と経済成長、それに大量生産大量消費といった形態自体が行き詰まっているのだから、それまでの路線をなんとかしようと思っても打開策は見えてこない。それまでの手法や路線を一度脇において、あるいは思い切って捨て去って、まったく違う視点で見直して見る必要がある。

地方の政策の転換と、意識の改革とソフトへのシフトが必要である。デザイン力をいってもいい。将来のビジョンとグローバルな視点をもった地域らしさの視点。つまり「田舎力」である。ローカルのインターナショナル。多様性のグローバルゼーションともいえるだろう。

金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/pdf/b022.pdf
◎内閣官房地域活性化応援隊地域活性化伝道師
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/tiiki/070415meibo.pdf
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